川と石と岸
自分の前を横切る川が流れている。
向こう岸まで着きたいのだけれど、
そのためには石を渡る必要があった。
今、目の前にあるのは石。
小さな石を踏むと自分の重さで転がって
川に落ちてしまうかもしれない。
なので自分が落ちてしまわぬよう、
出来る限り大きな石を探していた。
今、大きな石が目の前に
ぼんやりと霧に紛れて現れている気がする。
その石の先に岸が見える。
石はかつての思い出が、
岸には将来が見える。
日常生活も色恋沙汰もこの感覚になる時はよくある。