Capricious

自分の気まぐれさを愛したい

19

 

「甘えられるの、今だけなんだから。」

 

祖母が私にそう言った。

小さな祖母に歩幅を合わせ、浅草の道を行く。

 

「うん、そうだね。」

眩むような暑さの中で絞り出した言葉。

 

ハタチになっても甘えたい

そんなことを通り過ぎる広告看板を

目で追いながら考えていた。

 

祖母が首に巻いたスカーフを日傘のようにして

暑い日差しを遮ろうとする。

手傘をさして隣を歩く、夏だ。